ACE COMBAT 04〜shattered skies〜




ACE COMBAT 04〜shattered skies〜
受け継がれるACEたちの記憶

プロローグ 大陸戦争勃発、そして再会

ユージア大陸の西、大国「エルジア」とそのほかの小国は、長い間勢力均衡を保っていた。
そんな中、小惑星が地球に接近。後に「ユリシーズ」と呼ばれたその小惑星は1999年、地球のロシュ限界点を突破する。無数に分裂して地表へ落下したそれは、ユージア大陸でも50万人の命を奪い、甚大な被害をもたらした。そしてこの歴史的な悪夢から4年後、かつての治安を失い、経済恐慌と難民のあふれる中、エルジアは侵攻を開始する。この日、ユージアの西方に位置するエルジア共和国が突如として中立国サンサルバシオンに侵攻を開始
3日間に渡る爆撃と地上戦の結果、エルジアはサンサルバシオンを制圧し郊外にあったストーンヘンジをも接収した
ここに後に大陸戦争と呼ばれる戦いの火蓋が切って落とされたのだ
しかし、その戦争は多くの人間を巻き込むことになった

2003年8月中旬
この日、エルジアに対抗するためにユージアの各国は独立国家連合軍通称「ISAF軍」を組織して対抗するも、頭部の重要都市ロスカナスまで後退をさせられていた
ISAFは最後の賭けとしてストーンヘンジへの攻撃を決定した

「(……ストーンヘンジ…か)」

ユウイチ=キリサメもストーンヘンジ攻撃部隊に参加していた
ISAF軍は彼が円卓の鬼神と呼ばれていたことはまだ知らない

「(……エクスキャリバーに比べれば遥かにマシだな……)」

彼の乗るのは「F−15Cイーグル」
ベルカ戦争でも乗っていた戦闘機だ
周りの機体もF−15C、「Su−27フランカー」、「MIG−29ファルクラム」、「F−14Aトムキャット」と各国の主力戦闘機がずらりと並んでいる
攻撃機も「F−2Aヴァイパーゼロ」、「A−10サンダーボルトU」、「JAS−39Cグリペン」と同じような感じだ
だが、間もなくストーンヘンジというところでレーダーに反応が出た
数は15機
この攻撃部隊を目指して接近してきた

「ちっ……来たか」

ユウイチは呟くと、自機を反応に向かわせた
すると、先に接触した味方機の反応が消えた
彼は直感で感じた
−間違いない、コイツラは敵だ−
そう思っている内に敵機が視界に入った
機種はSu−27フランカーの最上位機にあたる「Su−37ターミネーター」である
翼の先端は黄色く塗られている

「さしずめ、黄色中隊といったところか!!」

ユウイチは隊長機と思われる13の文字が入った黄色いターミネーターと交戦状態に入った

「(コイツ……速い!!)だが、フォックス2!!」

彼はそう思いながらも背後を取ってサイドワインダーを発射する
だが、向こうはR−73アーチャーを後方に向かって発射し、サイドワインダーにぶつけて破壊する

「ゲルプ隊の真似事か!? 一筋縄ではいかんようだな」

今度は20mmM61A1バルカン砲を撃ちながら迫るが、今度は「プカチョブ・コブラ」を披露し13のSu−37がユウイチのF−15Cの背後を取った
Su−37は今までのお返しと言わんばかりに30mm機関砲とR−73の混成攻撃を仕掛けてきた

「ちっ!!」

彼は毒づくと、急旋回で機関砲を避け、上昇してからの急降下でR−73を回避した
だが、そのとき上空にストーンヘンジからの攻撃と思われるレールガンの弾丸が炸裂した
それに巻き込まれていく多くのIASF軍機
攻撃の混乱もあってか、僅か数分で部隊が壊滅状態に追い込まれた

「(馬鹿な!? アレだけ居た味方機が壊滅だと!? なんて奴らだ!!)」

コレにはさすがの鬼神も驚かされた
彼はやむを得ず、撤退命令に従ってロスカナスに後退することになった


それから約数日後
エルジア軍はロスカナスに大規模攻勢を仕掛けた
ISAF空軍は既にストーンヘンジ攻撃失敗によってその航空戦力の大半を消失しているため、防戦一方だ
郊外の基地でも所属機であるF−15Cが飛び立って迎撃に移るが、物量の差に次々と撃墜されていく
そんな中、エルジア軍所属のMIG−29ファルクラムが一軒の孤児院を破壊して得意げに上昇反転を行った
その孤児院の近くで2人の少年だけが無事でいた

「そ、そんな…くそっ、なんてこった。おい、コウ、大丈夫か?」

うつ伏せになり、破壊された孤児院を見つめているのは11年前のユージア紛争で両親を亡くし、預けられていたコウ=カマト…16歳である
その彼に声を掛けているのは同じ孤児院で暮らしていたハヤト=トリイ…同じく16歳である

「あ……はは……ははは……また、またか……」

「お、おい…コウ?」

ハヤトの声に耳を貸さずにコウはかつての出来事がフラッシュバックする
エルジア軍機に撃墜されたイーグルが孤児院に落下し、残っていたもの全てを焼き尽くす
たった一つ残された両親との思い出でもあるフランカーのプラモデルも…

「なんでだろう……なんで涙が出るんだろう…」

コウの瞳から涙がこぼれ落ちる

「何故、涙が出る!!」

この2人は撤退途中のISAF陸軍に救助される形でノースポイントに渡った
そして、彼らは数日後に空軍学校のドアを叩いていた
一方でISAFはノースポイントで残存戦力を再編して陸海空軍を組織するが、その人員は各戦線を生き延びた寄せ集めとまだ実戦経験もない新米ばかりであった


2004年8月19日
エルジアのサンサルバシオン占領から約1年半……
連日のエルジアによるノースポイント爆撃は確実にISAFを追い込んでいた
戦闘機が迎撃に出るも、整備が間に合わずその隙を狙って爆撃機が来る
その繰り返しである
もはや、ISAFにエルジアに対抗するべき手段はほとんど残されていなかった
そんな中でユウイチは孤軍奮闘していた
整備が追いつかない機体で出撃しては爆撃機を落としてくる彼だけがISAFの関係者を諦めさせていなかった
そして、数日前にはオーシア連邦の空母ケストレルを中核とするオーシア国防海軍第3艦隊が到着し、年末にはウスティオ空軍第7航空師団が救援に駆けつけてくれることになったのだ
オーシアはISAFに加入している1国が同国にSu−37、Su−34のライセンス生産を許可していることらしい
ウスティオはかつてのかつての英雄「円卓の鬼神」が孤軍奮闘しているのを手助けするという名目だ
そして、ユウイチにとっては驚くべき連絡が入ってきた
どうやらかつて彼の相棒であったタックネーム:ピクシー、コールサイン:ガルム2ことラリー=フォルクがISAF陸軍に義勇兵として参加しているらしい
彼は会ってみることにした
1995年12月31日にあの場所で別れて以来のことである

「……国境は俺たちに何を教えてくれた……か」

あの日の彼の言葉がユウイチの頭に過ぎった

9月5日

「ここか」

ユウイチはノースポイントのラリーの滞在場所を訪れていた
なんの変哲もないホテルだ
だが、裏側には爆撃の爪痕が残っている
そして、そのドアをノックした

「ラリー=フォルクか?」

「そうだが、誰だ?」

中から出てきたラリーは目の前のサングラスをかけたユウイチにそう問いかけた
ユウイチはサングラスを取りながら言った

「ふっ、久しぶりだな、ラリー。俺の顔と声を忘れたとは言わせんぞ」

「なっ……生きていたのか。相棒」

「当たり前だ……」

そう言うと、ユウイチは部屋の中に入った
2人は今までのことを語り合った
ラリーはあの後、脱出しどうにか生きることができたらしい

「俺は、国境の意味を知るために戦っている。お前はどうなんだ?」

「俺にとって……国境なんて関係ない……そこで力強く生きている人を守って戦うのが俺にとっての戦いだ」

そういうと、ラリーは笑う

「やっぱ、昔と変わらないな」

「いや、変わったさ……」

ユウイチはそう呟くと1枚の写真を取り出した

「それは……」

ラリーも思い出した
ユウイチがベルカ戦争中に彼に見せてくれた家族写真だ

「ユリシーズの落下……これでこの中の2人が死んだ」

「っ!!」

彼は驚かされた
ユウイチは相棒だったときに一度も見せたことのない悲しげな顔を見せたのだ

「俺はな……コレが神の報いだと思ったよ」

「…傭兵として…多くの命を奪った自分に対する……か?」

ユウイチは黙って頷く
彼は騎士道を貫く人間であったため、損傷を負った敵機は見逃していたことが多い
だが、円卓の鬼神とまで呼ばれていたのだから築き挙げた屍の数は計り知れない

「ベルカ戦争の後は…そのまま家族と一緒に過ごそうと決めていたんだ。だけど、ユリシーズがそれを奪った」

ストーンヘンジを持ってしても破壊することが出来なかったユリシーズ
だが、そのストーンヘンジはあろうことか人間に牙を剥き、多くのISAF軍人の命を奪った

「だから、お前は再び空に戻ったのか?」

「ああ。これ以上、おろかなことを繰り返させないためにもな」

ラリーの問いにユウイチは静かに答えた

「この写真の中で生きているのは俺とアヤトとユウカだけだ。知ってるだろう?」

ラリーは言われてみて思い出す
一度だけヴァレー空軍基地でユウイチが自分の次男と長女だといって紹介してくれた子供が2人いた
その当時は9歳だった2人だ

「ユリシーズが落ちた翌日に飛び方を教えてくれって頼まれてな」

「お前が飛び方を!?」

「おかげで今じゃISAF空軍学校の主席と次席を独占して卒業しやがった……もう少しすれば実戦配備されるだろうな」

ユウイチのその言葉を気に長い沈黙が訪れる
やがて、彼が口を開いた

「なあ、ラリー……」

「なんだ?」

次に出た言葉にラリーは頭を横殴りにされた衝撃を受けた

「もう一度……ガルム小隊を結成しないか? ソフィアもお前の事を待っている」

「……いいだろう…その申し出、受けてやるよ」

後日、ラリーは陸軍から空軍へ転属し、ノースポイント基地に配備されることになった




あとがき
ZERO編とのリンクという形で04編の執筆をスタート
最初の設定とはかなり改編してあります
外機からも洸と隼人の過去が登場
ただ、彼らも04編で活躍し、ゼロ・ルナとゼロ・カタリーナにも登場してもらいます
おそらく5編も大きくリメイク予定ですのでかなり影響を及ぼすことになるかと…
そして、ZEROからもラリーがいきなり復帰
あのラストから既に9年経ってますが、そこはZERO編で明かしていきます



 2006/10/28:メビウスさんから頂きました。
秋元 「ACE04、久々に引っ張り出しました。やっぱSu-37最高だな、うん!
アリス 「……使用時間が圧倒的(ぼそっ」

      第1話へ
戻る  トップ