ACE COMBAT 04〜shattered skies〜




ACE COMBAT 04〜shattered skies〜
受け継がれるACEたちの記憶

第2話 IMMINENT THREAT−喉元のやいば−

2004年10月5日ノースポイント基地
前回の迎撃作戦から約2週間が経過したが、それ以来プツリとエルジアの攻撃が止んでしまった
その間は配備されたばかりの新人パイロットたちの訓練などに時間を割くことが出来たが、噂に聞くリグリー基地に集結中のエルジア爆撃機部隊というのがISAF首脳部の気がかりだ


初陣から既に2週間近くが経過したのでF−22Aラプター・セレスティンの機首付け根部分に光が集まり人の形を成していく
そこには赤いショートヘアーと澄んだ水色の瞳を持った少女が姿を現した
彼女こそセレスティンの実体化した姿だ
今日までの訓練により実体化までこぎつけ、先程もISAF空軍に属している新型機と模擬戦を終えたところだ
「お疲れ様です。マスター…」
「セレスもね。ありがとう」
アヤトはそのままセレスの頭を撫でる
彼女は撫でられる感触が気持ちいいのか頬を赤く染めて少し笑みを浮かべている
格納庫にもう1機の機体が入ってくる
先程までアヤトのラプターと摸擬戦を繰り広げた新型の戦闘攻撃機「XFA−24Aアパリス」だ
ISAFの一カ国が開発を行い、次期主力戦闘攻撃機の一つに挙げられる機体だ
パイロットが降りてくると同時にアヤト機同様に機首付け根部分に光が集まり人の形を成した
どうやら同じMLS機だったようだ
パイロットはアヤトに近づくと話し出す
「さすがは士官学校を歴代最高成績で卒業しただけはあるな…おっと、紹介が遅れた。俺はアベル=ニューマン。このXFA−24Aアパリス・エレンのパイロットだ。それで…こっちが」
「エレンです。どうぞよろしくお願いします」
アベルと名乗ったパイロットの隣に居る青いロングヘアーと銀色の瞳を持った少女エレンがスカートの端をつまんでお辞儀する
アヤトも彼の名前は聞いたことがあった
ISAF空軍の初のMLS機パイロットであり気さくで明るい人物だと評判が高いからだ
「こちらこそ。アヤト=キリサメです」
「セレスティンです。うすうす感じていましたけど…やはりMLS機でしたか」
先の摸擬戦はラプターとアパリスの引き分けで終わった
MLS機と互角に戦えるのは同じシステム機かユウイチ並の化け物じみた腕を持っていなければまず無理だろう
エレンはさっそくセレスに近づく
セレスの方は既にソフィアに会っているが、彼女の方はこれが自分以外のMCと出会う初めての機会だ
「あ、あの…どう呼べばいいでしょうか?」
「セレスでいいよ。こっちもエレンって呼ばせてもらうから」
「は、はい…セレス」
そのまま2人は握手をするが、ブリーフィングルームへの集合が掛かったので4人は格納庫から走り出した


ブリーフィングルーム
集合命令により、ガルム隊、アヤト、ユウカに加えて今回は先程のアベルも加わっている
どうやら今回の作戦から彼はアヤトの指揮下でコールサイン:メビウス2、タックネーム:アビスとして参加する
「つまり、私とアベルでメビウス小隊を組め…ということですね?」
「そうだ。これから先も加わることになるだろうが、なにぶんMLS機はISAF軍内でも散らばり、エルジアに降伏してパイロットとMCごとこき使われている連中もいるからな…」
ISAFにおけるMLS研究は急速に発展していた
そのベースとなる蒼晶石はコモナ諸島の浜辺に打ち上げられた謎の輸送艦から発見された
同じようにコモナ宇宙開発センターでMLS機の開発と実験が行われているが、現状の制空権と制海権を考えるとノースポイントにMLS機を送れない状況だ
さらに悪いことに、大陸内部で開発を行っていたMLS機はパイロットとMCごとエルジア空軍に編入されてしまっている
たまたまアベルのアパリス・エレンは開発をノースポイントで行っていたためメビウス小隊への配属が決まったということだ
「さて、これを見てくれ……リグリー飛行場に居る元ISAF空軍のパイロットからの情報を元に偵察に出たU−2が撮影したものだ。同飛行場は敵の前線空軍基地であり、我が軍の喉元に突きつけられた短剣である。現在エルジア軍の大規模な爆撃機編隊が、この飛行場へ集結している。ノースポイントへの爆撃を阻止すべく、飛行場を攻撃し駐機中の爆撃機を全機破壊するのが本作戦の目的である。なお、今回の情報を提供したパイロットがリグリー飛行場にいる。彼の安全も確保してもらいたい」
リグリー飛行場は元々ISAFの基地だったが、ロスカナス陥落後に接収された基地だ
もっともノースポイントに近い飛行場であるので2週間ほど前はここから敵の主力爆撃機であるTu−95ベアが連日のように離陸していた
どうやらこの2週間は戦力を集めるための時間を掛けていたようだ
そして、そこにエルジアの大攻勢目前という重大な情報をもたらした元ISAF空軍のパイロットが居るから彼の救出も行えということだ
ブリーフィングが終了するとパイロットたちはそれぞれの機体へと乗り込むために格納庫に向かった


格納庫では出撃前にアヤトがアベルに質問をする
「MLS機パイロットに選ばれるってことは…よほどつらいことがあったんですね?」
「ああ。エレンは……ユリシーズ落下の時に死んだ初恋の相手の名前なんだ」
彼はそれを聞いてハッとする
何もユリシーズの落下で大切な人を失ったのは自分だけでないと改めて再認識しているのである
アヤトはそれを聞くという
「僕も…母親と兄をユリシーズの落下で亡くした……」
「そっか……お互い大変だったな」
アベルはアヤトを見る
彼の手にはユリシーズの落下の中で残った唯一の家族写真が入ったロケットがあり、アヤトはそれを見つめている
やはり、彼はまだ19歳…
ユリシーズの落下は5年前の1999年だから当時14歳の少年に母親との別れは相当つらかったものだろう
「なんだかんだで…よろしく頼むよ。隊長」
「任せてくれ」
2人はそう言葉を交わすとそれぞれの機体に乗り込んで出撃する


同じ頃
ケストレルからも今回の作戦に加わる機体が出撃準備に入っている
前回のメンバーに加えて今回からは「白き猟犬」の二つ名を持つエースパイロットであるケンタ=アキモト中尉も参加することになった
彼の機体はコウやハヤトが使っているSu−37okであり、カラーリングは白で統一されたフランカー・ゼロ・アリスだ
垂直尾翼にはパーソナルマークの白いパピオン犬が描かれている
「(エルジア共和国…正義を軽々しく名乗るなよ)さて、ようやく出られるな」
《マスター……前回のような無茶はしないでください…》
ケンタの呟きに彼の機体のMCであるアリスが忠告する
彼はエイギル艦隊との遭遇戦でかなり無茶をしたらしく、一度ゼロ・アリスをフルメンテしてもらったくらいだ
カタパルトには既にゼロ・ルナとゼロ・カタリーナが固定されており、ゼロ・アリスの隣にはゼロ・ブラック・レイが出撃準備中だ
装備はAS−17ok:6本、R−77ok:4本、R−73ok:2本でどちらかといえば待機攻撃の武装だ
目標はエルジアに制圧されているリグリー飛行場に駐屯する爆撃機部隊を叩くことになっている
そんな中、コウは最近の訓練の最中に感じたことを呟く
「今日は聞こえないな」
彼は訓練中に機体の整備不良で一度コクピット内の与圧が利かなくなった
その時に少女らしき声が聞こえてきたからだ
直後に彼は意識を失ったが後に、ハヤトに聞いたところ何事も無かったかのようにゼロ・ルナはケストレルに着艦したそうだ
「(あの声……優しかったな。誰なんだろう……)」
「キメラ!!カタパルトに固定、完了したぞ!?」
「了解。キメラ、発進します」
射出要員の声に我に返ったコウはそのままゼロ・ルナを発進させた


10月5日 13:25 リグリー飛行場
現在、この基地にはTu−95を中核とする爆撃機部隊が駐屯している
目的はアレンフォート及びノースポイント飛行場のISAF戦力撃滅のためだ
既に戦局はISAFが覆せると思ってはいないエルジアは一気に勝負を付けようと2週間掛けて集結させた
その滑走路には1機の戦闘機が発進しようとしている
機体は「F−16EAラヴィ」
エルジアがF−16Cをベースにして同機の後継機として開発した多目的戦闘機だ
「攻撃開始まであと4分か……しっかりとISAFに情報が伝わっていればいいが……」
《きっと伝わってるわ。マスター……》
パイロットのエルラエム=アルスの呟きにその機体の精神生命体であるメルルが返す
彼は開戦時にエルジアの攻撃によって家族を失い、所属部隊を壊滅させられ、同空軍に編入されてしまった経歴を持つ
このリグリー飛行場に配備されていたが、ここ2週間の爆撃機の集結状況からノースポイント総攻撃が近いことを悟ってISAFに情報を漏らした
《ところで、マスター…どうするの?》
「たまたま定期哨戒だからな。そのままISAF軍機と合流して爆撃機部隊を潰す」
《わかった……飛ばすわ。マスター》
メルルがそう告げるとラヴィが滑走路を離陸した

13:29 リグリー基地近郊
ケストレルから発艦した部隊と合流したISAF側の部隊は間もなく攻撃目標であるリグリーに到達しようとしていた
上空のE−767からも通信が入る
「こちらスカイ・アイ。リグリー方面より接近する機体1……おそらく情報を送ってきた元ISAFパイロットの機体だろう」
「了解。スカイ・アイ……これより確認する」
アヤトは自身の機体をリグリー側から来る機体に接近させる
エルジアのF−16の後継機F−16EAラヴィのようだ
同時に、セレスも何かを感じ取ったのか呟く
『あのラヴィ……MLS機です』
すると向こうから通信が来る
「こちら、元ISAF空軍パイロットのエルラエム=アルス。当時のコールサインはアザゼル。確認願う」
「了解。しばし待て」
スカイ・アイはコールサインから過去の経歴を調べる
すると、一致するものがあり、エルラエムは確かにISAF空軍所属のパイロットだった
記録によるとイスタス要塞防衛戦にて所属部隊が壊滅している
おそらく強制的に編入されたISAFのパイロットなのだろう
「確認が取れた。アザゼル、君は先にノースポイント飛行場に向かえ」
「いや、このままリグリー飛行場攻撃に参加する。そちらも戦力が少ないのだろう?」
「上層部の許可が出た。君はメビウス1に従ってくれ」
それを聞いた彼は自身の機体をラプター・セレスティン、アパリス・エレンと編隊を組むような位置に付いた
MLS機ということもあってセレスとエレンは早速メルルに接触を開始する
『エルジアにもMLS機は居たんですね』
『本当に大丈夫? 後からドカンなんてことは無いよね?』
エレンの方は不信感が拭えないためそういう発言をする
だが、メルルは言う
『心配しないで。マスターはエルジアに半端じゃないを持っているの……それに、私自身もエルジアのやり方は気に食わないから当てにしてもいいわ』
「なら、当てにさせてもらうぞ」
思念波通信で内容を聞いていたアベルがエルラエムに告げる
やがて送電線が見えてくるが、これを辿った先にリグリー飛行場が存在している
途中に変電所が目に入ったときにスカイ・アイから指示が来た
「リグリー飛行場まで30マイル……送電線にそって北へ飛べ。爆撃機はお昼寝中だ。一網打尽にしろ!!」
命令に全機が速度を上げていく
アヤト機の後方に付けているラヴィ・メルルは無線誘導爆弾を投下して変電所を破壊する
これで電力が切れたはずなのでレーダー等の施設や電力供給を受けている対空兵器は沈黙するはずだ
「リグリー飛行場は方位010、距離8マイル」
「全機、攻撃準備」
ユウイチの命令にメビウス隊とガルム隊の機体がアムラームのロックをリグリー飛行場に待機している爆撃機や戦闘機に掛ける
一方のケストレル組のフランカー・ゼロ部隊はAS−17のロックを地上施設に掛けた
何機かスクランブルに上がってきたようだが、既に遅い
「全機、一斉に撃て!!」
スノーが命じるとかなりの数のアムラームやAS−17が飛行場に向けて発射される
スクランブルのため発進したMIG−21bisはそれを回避してくるが、動かない目標である飛行場にミサイルは殺到する
アムラームは駐屯している爆撃機や発進態勢に入ったばかりの戦闘機に直撃し、AS−17はレーダーやSAM、格納庫に着弾して飛行場のあちこちで火の手が上がった
「な、なんだ!?」
「ISAFの奇襲!?」
「う、うわああああ」
凄まじい量の残留思念がMLS機に流れ込んでくる
初めてそれを経験するアヤトたちとセレスたちは苦痛に表情を変える
『マ、マスター……こ、怖いです』
「大丈夫だ、エレン。俺が付いている」
『こ、これが残留思念……』
「け、結構厳しいものだな」
『確かに、厳しいです。ですが、以前のマスターが経験した苦しみはこれぐらいじゃありません』
「セレス……そうだな」
以前のマスターが死亡したということは死の苦しみを残留思念ではなく直接感じてしまったということだろう
当然ながら、直接の死は残留思念とは比べ物にならないほどつらいため精神生命体は耐え切れずにマスターとともに死んでしまう場合が多いという
動揺を見せるメビウス隊にラリーが告げる
「まだ、スクランブルで発進してきた機体が残っているぞ!!」
『マスター、前方のフィッシュベット、ロックオン完了』
「ピクシー、フォックスツー!!」
イーグル・ソフィアは前方のフィッシュベットにサイドワインダーを発射して撃破
後方からはリグリー飛行場に接近していた「A−10AサンダーボルトU」がGAU8/A 30mmガトリング砲の銃口を向けていた
「キメラ、フォックスツー!!」
既にそのA−10Aの後方に付いていたゼロ・ルナがアダーを発射して撃墜
後方から迫るフィッシュベットもゼロ・カタリーナとゼロ・アリスが撃墜する
スクランブルで発進してきた機体も全て撃墜
滑走路に運良く残っていたTu−95もガルム隊とユウカ機の3機がサイドワインダーを撃ち込んで撃破し、対空火器もスノーとマサタカのトムキャットが潰す
この段階で作戦は成功と言っても良いだろう
そこへスカイ・アイから通信が入った
「警告、この空域に接近しつつあるエルジア戦闘機4機を確認!!」
「4機だけだと!?」
スノーが数の少なさに唖然とする
だが、速度が従来の機体と段違いなのか、レーダーに映った敵機はエルジアの主力機であるSu−27フランカーやF−15ACTIVEでは考えられない速度で迫ってきた
違和感を感じ取ったのはMCたちだ
『接近してくる4機……全部MLS機だわ。内2機は新型』
「新型!?」
ある程度エルジア軍に精通しているメルルが思念波通信でアヤトに知らせる
彼女はその新型のことを口にする
『エルジアが開発した新型戦闘機X−02ワイバーン、YFX−11ヘブン・ランサーの改良型だと思う』
「まさか……エルジアのエース部隊『ファントム隊』か!!」
アベルが噂に聞いていたことを口にする
2機の新型戦闘機と2機のSu−30フランカーで構成されたエルジアのエース部隊の1つ「ゲシュペンスト」と呼ばれるファントム隊だ
コンベース港攻防戦にてISAF空軍側は多数のイーグル、トムキャット、ホーネットを撃墜され翻弄されたこともある黄色中隊並みに手強い相手だ
ガルム隊やシリウス1は既にミサイルを撃ち尽くしたため迎撃は不可能
現時点でメビウス隊とフランカー・ゼロ隊だけが迎撃可能のようだ
「ここは白き猟犬の腕の見せ所ね」
「言われなくても判っているさ、怜。行くぞ、アリス」
『はい。マスター』
真っ先に飛び出したのがゼロ・アリス
どうやらゼロ部隊で迎撃を行うようだ
それに続くようにゼロ・ルナ、ゼロ・カタリーナ、ゼロ・ブラック・レイが続いた



『マスター、向かってくるのはどうやら新型のフランカータイプ…4機ともMLS機。内2つは2次覚醒を終えています』
「噂のオーシアのゼロ型って奴だろうな。油断できない」
X−02ワイバーンのパイロットであるタクヤ=ミカヅキは自機の精神生命体アスカの報告にそう呟く
エルジアでもオーシアが開発したフランカー・ゼロの情報は得ていた
おそらく、フランカーシリーズでももっとも性能のいい機体であろう
『フランカーなんて屁でもないけど……もし、無人機なら、こんな感情持たずに落とせていたんでしょうね』
「そう言うな、ファルナ。俺は無人機による戦闘なんて認めない」
『判ってるわよ、マスター』
YFX−11Rヘブン・ランサー改のコクピットでジャン=レイスロッドがMCのファルナと言葉を交わす
本来は無人機として開発されるはずだったファルナは意志を持ったことによって悩んでいるようだ
後方のSu−30フランカー2機も同じようにMLS機だ
「ファントム3、仕掛けます。リーリャ、アロー・モーニングコール」
『うん。アロー・モーニングコール完了。発射するよ』
ファントム3:ミハエル=ラフスキーの声にSu−30フランカー・リーリャのMCであるリーリャが返事をし、右翼からアローが放たれる
それに続くようにファントム4:Su−30フランカー・エメリアからもアローが放たれる
同時に、MCのエメリアが向こうからの攻撃を感じ取る
『皆さん、攻撃が来ます。アダーです、ブレイクしてください』
「了解、エメリア。ファントム4、ブレイク」
彼女の声にパイロットのユーリ=ラフスキーが答えてミサイルを回避する
回避したところへ敵機が突っ込んできた
すれ違い際に敵機の尾翼のパーソナルマークが見えた
「敵……オーシアの白き猟犬です!!」
「各機、散開!! 1対1で当たるぞ!! ジャンは猟犬、俺が黒、ミハイルは灰、ユーリは青のゼロに当たれ!!」
「「「了解!!!」」」
4機は散開するとそれぞれの相手に襲い掛かった


X−02ワイバーン・アスカはゼロ・ブラック・レイの後ろを取ろうとするが、怜はそう簡単には取らせないでいる
一方のタクヤとアスカも違和感を覚える
『マスター……黒いゼロはMCが直接操縦しています』
「事情があるようだが……やるな!!」
X−02はエルジアで開発された新型の次世代戦闘機
その性能はかなりのものである
ようやく後を取り、専用の長距離AAMダークファイアを発射する
ゼロ・ブラック・レイは急上昇して振り切ると今度はX−02の後に付いてアダーを発射する
『アダー来ます』
「対ミサイルジャマーを作動させろ!!」
アスカはチューンして取り付けられたミサイルジャマーを作動させるとロックオンを不安定にさせられたミサイルは目標を見失って外れる


ゼロ・ルナとフランカー・リーリャはドッグファイトに入っている
性能では上回るゼロだが、パイロットの技術差によってフランカーの方が押している
やがてゼロが後を取られて敵機は30mm機関砲を撃ってくる
「くっ……なんて動きだ」
コウはそれを避けるのが精一杯だ
このままではやられるとそう思いかけていた時だった
『何が足りないの?』
こう頭の中に聞こえたのだ
幻聴か……?とコウは思った
その声は訓練中に聞こえた声と同じものだった
「誰だ?」
『あなたに一番近い者』
同時に何かを感じる
敵戦闘機のパイロットとそれに付随する何かの意識だ
誰かがいる事自体は宣告承知だったが、これは、位置まで分かるというレベル
「(俺はどうしたんだ?)」
やはりおかしくなってしまったのかと恐怖心にかられるが、「彼女」が、優しい声を聞かせてくれた
『大丈夫です。あなたが敵を感じるのは、私のせいだから。だから、私と飛んでください』
誰とも分からない彼女に、頷いて合意する
「(待て……私と飛んでください、だと!?)」
瞬間、彼はゼロ・ルナが軽くなったように感じる
一気に宙返りをするとフランカーの後方に付けた
30mm機関砲を発射するも、敵機は垂直尾翼の片方を破壊されたに過ぎない
「さっきから俺に語りかけてくる君、君はゼロ・ルナでいいのか?」
彼は冷静になって彼女に尋ねた
『はい。私はルナ。あなたの手足となり空を駆ける、戦闘機・・・・・・ルナはあなたがつけてくれた名前。待っていました、この時を』
彼自身、半信半疑であり、今も戦闘機と話しているという現実に少々困惑しているが、受け入れるしかないと思った
現実にゼロ・ルナは心を持ち、その人格はルナと名乗った
彼は覚悟を決めた
「分かった、ルナ。しかしなぜ急に、はっきりと君の声が聞こえ始めた?」
『それは、あなたが私の事を理解しようとしてくれたから。私の心と、あなたの心がリンクし始めているから』
「リンクって……」
そこまで話した彼らは話を中断する
先程のフランカーが再び旋回してヘッドオンで向かってくる
直後にR−73が発射されたがゼロ・ルナは難なく避ける
「……何も見てないのに、後ろにいると分かった……これも、ルナの力?」
『私とあなたの力がリンクし、戦闘機と一体化させるのです』
ふと周囲を見る
ゼロ・カタリーナも自分と同じフランカーに追われているが、苦戦しているようには見えない
ヘブン・ランサーと激突しているゼロ・アリスの動きは凄まじいものがある


「無人機ベースなのにやるな……」
『マスター……相手はMLS機です』
ケンタの呟きにアリスが告げる
本来は無人機のところをMLS機に改修したということはかなり手強いことになるだろう
何せ無人機はパイロットが乗っていないことを前提としているため機動性などは化け物なみだろう
後方に回り込んできたヘブン・ランサーはサイドワインダーを放ってくるが、ゼロ・アリスは難なく回避
立て続けにアムラームも発射してきたが、これは湖ぎりぎりまで高度を下げて一気に上昇してミサイルを着水させる
『マスター、あのゼロ…手強い』
「落ち着け!! ファルナ……そろそろ燃料も限界だ。隊長、後退しましょう」
「そうだな。元々リグリーで補給を受けて迎撃に付く予定だったからな……仕方ない。撤退する」
タクヤがそう指示を出すとファントム隊4機は空域を離脱していった



帰還途中、コウはルナのことを考えていた
「ルナ……か。戦争の道具として……扱いたくはないよな……」
コウはそう呟いた
《マスター、何か?》
「これからもよろしく」
《はいっ、マスター》



あとがき
5編リメイク予定なので04編のここでルナを覚醒させました
他にもメルルのご登場
後に妹月も出すので百合コンビ結成でしょうかな?
ACE COMBAT XからもXFA−24Aアパリスを登場させてみました
他にもあったんですが、さすがにまだXR−45とかYR−302は早いと思ったので………
XFA−27は出てくるかも知れませんが……



 2006/12/14:メビウスさんから頂きました。
秋元 「百合百合コンビ、妹月が妹で。スールーの誓いを(ry」
アリス 「……十字架をどうにかしちゃうんですね」

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