我らが先に 道はある
終わり無き道
我らが後ろに 道はない
そこにあるのは
暗闇…そして
記憶の欠片




外洋機動艦隊 -mashine with the heart- 外伝
〜終わり無き雲海の彼方に〜
第2章「姿」




−11月3日午前7時、空母水仙甲板上−
久々の着艦ではあるが、どうやらミスはしなかった。
《敵さん、いなかったね》
(普通いて欲しくないっての)
《まあ、そうだけどね》
「岡野〜、どうした?」
松居だ。
「待っとけえぃ!」
(じゃ、また)
《あ…ぅ〜…》

甲板上には、艦長と思われる人を始め、いろいろな人がいる。殆どが、暇人だ。
「君たちか。始めまして、私は小山内(おさない) 爽司中将。この作戦の指揮をする」
紳士というイメージがある。少しのギャップも覚えた。
右にいた男性が喋る。
「改めて、ようこそ水仙へ。私は艦長の香田 俊之。大佐だ。よろしく頼む。こちらは…」
「副長の安佐伊 健児です、よろしく」
さわやかな感じの副長だ。
「よろしくお願いします」
鱸が代表であいさつ。
「安藤は知ってるな」
「久しぶり」
「そっけねえなあ、おい」
「こちらは…」
「TAシステム軍団の阿知波 仁、准尉です」
「で、こいつらが我ら水仙のパイロットだ。いい奴らだぞ」
「よろしくう!」
ものすごい気迫。負けじと、
「よろしく!」
と言ったのは…岡野だけだった。
「では、早速艦内を案内しよう。着いてきてくれたまえ。中将閣下はお戻りなさいますか?」
「そうしよう、作戦を見直したい」
敬礼して見送る。
「では行こう」
「あ、岡野さん、ちょっといいですか?」
呼び止めたのは阿知波だ。
「ご用で?」
「ええ、『アレ』について」
どうなる事やら…


−1時間後、百武レディー・ルーム−
「まず、ここが艦橋だ。みんな、つれてきたぞ」
そう安佐伊が叫ぶと、皆が反応する。
「何?あいつらか!」
「へええ」
「始めまして」
等々…
「こちらこそ」
対応に追われる。さあ、大変だ。が。
「説明はいらんだろう、次に行こう。みんな、後にしてくれ」
「ハ〜イ…」
あれだけざわついたのが静かになる。
「艦長〜…」
出てきた扉の向こうから、悲しい声がした。

「ここは…」
「医務室だ」
二村を安佐伊がサポートする。
「安藤はここが持ち場だ」
ノック…返事。
「はい」
沙紀の声だ。
「安佐伊だ、いいか?客人だ」
「は〜い…」
悲しそうだ。
中は、医薬品のにおいぷんぷんするが、沙紀らしい小綺麗な部屋だった。部屋の主の沙紀はいすに座ってこっちを見ている。
「艦長」
「どうした?」
つかつかと歩いてくる…4人には意味が分かった。
「なんでこいつらなんですか」
「頼むからお偉いさん方に言ってくれないか。耳にたこができそうだ」
「勝手に作って下さい」
そこで沙紀は向きを変え…
「で」
「光は?4人しかいないじゃん。置いてきた?」
「近いかも。TAシステム軍団の阿知波准尉…だっけ?と談話中」
鱸だ。
「そ」
何ともそっけない。
「後で、な」
「艦長、またですか」
こぼしたのは、二村だった。
沙紀の部屋を出る。
次の瞬間、小澤がこぼす。
「厄介にはなりたくないな」
「同感」

「さて、ここが食堂だ」
時間ではないため、人影はまばらだ。
「メニューは沢山あるし、うまいし、何よりただだ」
「どれどれ…?」
メニューを4人とものぞく。定番のカレー(とはいえ、種類は沢山)や、ラーメン、定食に単品、何でも来いと言った感じのメニューだ。
鱸が思い出す。
まだ、こっちでは食べていない。
「艦長、少し腹が減ってるのですが…」
「おや、腹が減ってたのかい?なら食べよう」
2回目の朝食だ。


−同時刻、格納庫内−
「流石、とでも言いましょうかね」
「皮肉?」
そう、話というのはMLシステムについてだ。
「で、他の4人ですが…」
「まだだな。今度敵が出てきたときにでもどうにかするさ」
「どうにか…と言うと?」
「ちょっと手を貸してやるのさ。いつまで経っても二次覚醒にならねえから柚里亜がうるさくてうるさくて」
《それど〜いう意味?》
「だからその度に涙顔でこっち見るなっちゅうこと」
《ぅ〜…》
涙顔だ。
「大変ですね、全く。これで話はおわりです。あ、後これを」
「これは…水仙の艦内図?」
少しとまどう。
「そんなもんです。これがあればいいのでしょう?」
「相当俺らの事調べてんのな」
「MLシステム被験者として…ですが」
「あ、そ。じゃあどこ行きゃいいんだ?俺らのR.Rに行きゃいいのか?」
「そうですね。1時間もすればそこにきますよ。案内の艦長に伝えておきます」
「はいよ」
4人はどうするか…それだけ悩んでいた。


−1時間後、百武R.R−
「あ、いた」
小澤だ。
「おかえり、遅かったね」
「遅かったねって…おめえなあ、なぜいる?」
松居が割り込む。
「おや、居ちゃいけなかったかな?それは、俺が百武隊の2番機である、というのを否定していると言う事にもなると思いますが」
いやみたっぷり。
「そういう意味じゃなくて」
「なぜ先にこの部屋にいるか、だろ?」
お見通しだ。
「え…ああ。でさ」
「なんだ?」
「何か食った?」
「ぁ…忘れてらあ。行って来る」
腹の虫が吠えているのだ。これは相当きつい。
「あと、明日から哨戒に当たるぞ」
「はいよ、了解」
小走りで出ていく。
「あいつ腹の減り早いからなぁ」
「うん」


その欠片は その人そのもの
それは
たとえ誰かが 捨てようとしても 捨てられない
捨てようとする
それは
自分を捨てると
同じ事


              −あとがき(のようなもの)−
第2章、いかがでしたでしょうか。大変時間(だけ)がかかりましたが…。出来はまあする〜してください。因みに、岡野のモデルが一応私となってます。やけに設定が多いのはそのためw 次の章でかなりいろいろ起きますので、どうかお楽しみに!



 2005/12/07:蒼剣さんから頂きました。
秋元 「今回は艦の案内ですね」
アリス 「……水仙はハッキリした設定がありませんので、適度に弄ってやってください」
秋元 「と言っても、雛菊ほど豪快な艦じゃありませんw 普通の空母です」


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