WARSHIPGIRLS




平行世界、ここでは軍艦は兵器として生きず、人として生きている。
その世界に妙な客人が一名(?)
「くはははは!」
変な笑い声、それを発しているのは客人。
その客人は背中に「天」と書かれた鶴だった。
「ザッツ降臨!」
この鶴は何故か人の言葉を喋っている。
「この世界に来るために変な姿になったが、まあ良い」
鶴は町の方を指差す(指無い指無い)。
「ここならば私は神!キーング!何やってもOK !遊ぶぞ!」
意味不明なポーズをとる鶴。
と、その鶴の背後から人影がソーッと近づいてきた。
「んっ?」
その人物は鶴の首に手を回すと。
きゅっ!
「ぎょぷ!?」
鶴は首を雑巾のように絞められダウンした。

WARSHIPGIRLS
大和「や、大和だ………た、タイトルコールって…その、こうで良いのか?」

「――34!35!36!37!38!39!40!41!――」
所変わり町の中。
ここは公営住宅「呉」
この団地には主に日本海軍の軍艦娘達が住んでいる。
「――68!69!70!71!72!73!74!75!――」
この団地の横にある公園に勇ましい声が響いている。
声の主は木刀を持った剣道少女、日本海軍戦艦・大和、すらりと伸びた手足と、まるで絵に描いたように綺麗な黒髪のショートカットが特徴。
いま彼女は袴姿で木刀を持ち素振りをしている、毎日の習慣だ。
「――93!94!95!96!97!98!99!100!…ふう」
彼女は木刀をベンチに置くと同じベンチに掛けておいたタオルで汗をふく。
今日の鍛練は一通り終了、少し休憩。
ベンチに座った彼女は一息つく。
「さて」
彼女は呟いた、この後は団地にある自分と妹が住んでいる部屋の掃除をするとして、その後の予定が無い。
規則正しく、真面目で、几帳面な彼女は何かするとき必ず予定を立てる。
(何かするべきことはあるか?洗濯は昨日済ませた、買い物は何もない、どうしよう…)
先程から彼女が考える選択肢に遊びに類する案が出ない。
彼女はそういったことが苦手だ、外見は凛としているのに、カラオケとかそういう所に行くとあがってしまうのだ。
良い案が浮かばない、最終的に自主的に側溝の掃除をすることすら考えだした。
「姉さん姉さん!」
とそこに良く似た少女、妹の武蔵が慌てるように駆け寄ってくる、彼女は髪の毛がポニーテイルであること以外外見的には姉と変わらない、性格的にも似ていて、姉よりいくらか丸いぐらいだけな・・はず・だ。
彼女は手に何か抱えていた。
「武蔵?…何だそれは?」
大和は武蔵が抱えているものを見た。
何か漢字の「天」が書いてある。
彼女は最初、服か何かと思ったら違った、良く見ればそれは鳥…鶴のようだった。
「何だおい、これは鶴だぞ、お前こんなものどこから…死んでいるのか?」
「いえ、死んではいません、堕しただけです」
「そうか」
大和は妹がさらりとそんなことを言ったので複雑な表情をしながらその鶴に手を触れた。
確かに生きているようだった。
「武蔵?どこからこんなものを連れてきたんだ?」
「そこの空き地からです。そんなことより姉さんすごいですよ!」
武蔵は興奮して大和に詰め寄ってくる、いつもはもっと落ち着きがあるのだが、今は違った。
「すごいです!この鶴喋るんですよ!」
「はあ?」
大和は妹が何を言っているのか分からず聞き返す。
「何をふざけたことを言っている、オウムじゃないんだ、無理に決まっているだろう」
「でも本当に喋るんです!さっきなんか笑っていました」
大和は呆れたように首を振る、と
「ぐうう」
どこからか唸り声のような音が聞こえた。
大和は首を振って周りを見る、そんな音を発するものは周りになかった。
「ううう」
「!?こ、この鶴か、この音は」
大和はまじまじとその鶴を見つめる、背中に「天」と書かれている以外普通だが、発する鳴き声が変だ。
(鶴はこうクエーとか鳴くんじゃないのか?随分と変な鳴き声だな、まあ実際私も本物を見るのは初めてだし、こんな風に鳴く種類なのかもしれないしな)
そんなことを思っていると鶴が目を開けた。
「お、目を覚ましたな、武蔵、可哀想だ離してやれ」
武蔵は手を放さない。
鶴は眼をパチクリさせ、きょろきょろ周りを見る、そして…。
「うおお!?何だ?何が起こった?何か柔らかいものに抱かれているが、どうなっている!?」
「わわ!?」
喋った、鶴が。
大和はそれに驚いて思わず飛び退く。
「ほら姉さん!ほんとに喋るでしょう?」
「あ、ああ、本当だな…」
武蔵はこの異常な事態に際して冷静だ。
大和はそんな妹に薄ら寒いものすら感じたが、今はそれよりこの鶴だ。
「ぬいぐるみ…ではないな、生きてる、じゃあなんで鶴が喋るんだ?」
「何ででしょうね?まあそれよりこの鶴を見世物小屋とか、政府の研究機関に売りましょう!一儲けできますよ」
「いや、それはどうだろう」
色々と面倒なことになりそうなので乗気でない大和。
というかさらりと凄いことを言う妹にもはや戦慄すらしている。
「んん?ほうほーう?私を抱いてる柔らかいものは胸か、詳しく言うとCカップぐらいの張りのある――」
鶴が何やら血迷ったことを言いかける、直後。
きゅっ!
「びゅおぺ!」
鶴、再びダウン
「とりあえず姉さん、家に持って帰りましょうか」
「あ、ああ」
武蔵は「持って帰る」ともはや生き物として扱っていなかった。

「ただいま帰った」
「ただいまー」
「おかえりなさい」
二人が家に帰ると緑の髪のツインテールの少女、信濃が出迎えた。
「ん?それなーに?今晩の夕食?」
「いやそれは無い」
いきなり食い意地を張る信濃、彼女は二人の姉より小さいのに良く食べる。
「信濃、これは喋る鶴だよ」
「えっ?この鳥喋るの?」
「そうだよ」
「わあ!じゃあどんな味するんだろ?」
「とりあえず食べることから頭を離しなさい」
とりあえず靴を脱いでリビングのソファーに座る、ちなみにこの部屋の間取りは2LDKだ。
「さてこの鶴だが持ってきてしまったがどうする?こんな不気味な生き物、家に置いておきたくないぞ」
「ええー、いいじゃない姉さん面白そうよ」
「味噌味がいいかな?醤油味がいいかな?」
「………」
(いつの間にうちの二人の妹はこんなになってしまったのだろうか、きっと牧野さんが何か間違えたのだろう、弘法筆の誤りだ、うんきっとそう)
妹たちの発言に思わず現実逃避する大和。
二人の妹はそんな大和の後ろで何やら作業を始めていた。

さて本編の世界とは違う、何か別の世界にて。
そこに一人の少女が立っている。
「…1カメさん準備良い?」
はいどうぞ。
「2カメさん?」
OKです。
「3カメ?」
オールグリーン。
「音響?」
問題ありません。
「それでは…コホン」
少女は一つ咳をすると…
「はい!どうも皆さんこんにちは、またはこんばんは、あるいはおはよう、・・・・・・・・シャドウブラッタです。何か前回ストレンジブラッタとか知らない娘が出てきましたが、あんな娘いません。・・作者・が・素・で・・ボケかまして私の名前間違えてくれました。しかもその後まっいいやネタになる、などと嘯きやがりまして。そんなわけでちょっとやさぐれ気味の正式名称シャドウブラッタです。」
はいどうもありがとうございます。
ついでに本編の補足を。
「はいはい…えー私は今、大和さんのお家に回覧板を届けるべく公営住宅「呉」に来ています。何でも名前を間違えたおわびだとかで出番をくれるとか言ってましたが、私はこれっぽっちもあの男(作者)を信用していません。なので嫌な予感がぷんぷんします」
説明的な独り言ありがとうございます。
じゃ本編に戻ってくださいね?
「ああ、やだなー、行きたくない」
さっさと行ってください、話が進まないです。
「…何かナレーションさんまで優しくない」
行け。
「…はあ、気が重い」
一人愚痴を口にしながら101号室―――大和姉妹の家に向かうシャドウブラッタ。
以上何か別の世界からお送りしました。

さて「呉」の一階にきたシャドウブラッタ。
彼女は101号室の前に立つと呼び鈴を鳴らした。
ピンポーン
「こんにちはー」
応答無し、されど人の気配あり。
「…?大和さーん?いないんですか?」
またも応答無し。
シャドウブラッタはどうしようかと考える。
とよく見れば鍵が掛っていない様であった。
失礼だがその勝手に扉を開けて中に入ろうとするシャドウブラッタ。
ガチャ
「こんにちはー?だれかおられ…」
バタン!!!
思いっきり扉を閉めた、これ以上無い位力を込めて。
「………」
意味無く自分の爪先を見つめる。
何だろう今見たものは。
ハッキリ言って今見た光景はヤバイと思う。
何故ならどう見ても黒魔術の儀式にしか見えなかったからだ。
部屋の中心には風呂桶よりでかい鍋が置かれ、その下ではこれまたでかいガスコンロが火を吹いていた。
鍋の中からは得体のしれない紫や緑の煙が出ていて、何と表現してよいか分らない異臭がした。
鍋の横ではおそらく武蔵と信濃であろう二人が黒い外套を着て、ぐったりした生贄の鳥を抱えていた。
どこからどう見ても黒魔術の儀式だ。
(いやいやまて、まさかそんな非常識な、黒魔術て、ありえんありえん、よし!もう一回開けて確認しよう)
シャドウブラッタはゴム毬の如く跳ね回る自分の心臓を抑えながら、恐る恐る扉を再び開けた。
ガチャ
「―――貴様らー!創造主に向かってなんてことをするかー!この小説を18禁官能小説にしてやってもいいんだぞー!………あっちょっ、止めて、お願い、ゆ、赦し―――」
バタン!!!!!
「えーと」
何だろう、今明らかに、鍋の中に放り込まれそうになっていた生贄の鳥になんか憑いていた。
「………」
本当にどうしよう。
とここではっとした、何も中に入る必要は無い、ただ回覧板を置いていけば良いことなのだ。
シャドウブラッタは回覧板を郵便ポストに入れると、猛ダッシュで帰ろうと―――
ガチャ
「あれ?シャドウブラッタこんにちは、何か用?」
この日、シャドウブラッタは心の底から神を呪った。

101号室内
シャドウブラッタは首にロープを巻かれる五秒前の死刑囚の表情で正座で座っていた。
「わざわざ回覧板ありがとう、はいお茶」
「………」
シャドウブラッタは武蔵が出したお茶に手をつけず、チラリと横を見る。
さっきの生贄が鍋の横でだらんとしていた、気絶しているらしい。
巨大コンロの火も消えていた、だが道具自体はそのままなのでいつでも再開できる。
頼りになるはずの大和は何故か部屋の隅っこで三角座りしている。
味方無し。
シャドウブラッタはまさに地獄に落とされた哀れな子羊の心境でこの場にいた。
「ごめんね、ちょっと遊んでたら気付かなくて」
「は、ははははは、あ、遊んでたらっすか」
これのどこが遊びなのだろう、そう思った彼女であったが決して口にしなかった、した時点であの鳥の代わりに生贄にされそうだ。
「お姉ちゃん、この鳥どうする?」
信濃が鳥を突きながら聞いてきた。
「そうね、やっぱり死んでもらうのは困るね、やっぱり食べずにペットという方針で」
「えー、はあ、分かったー」
名残惜しそうに鳥から離れる信濃。
「ペットねー食費とか掛りそう…」
つい呟いてしまったシャドウブラッタ。
その言葉に信濃の肩がビクッと揺れ、まるで壊れたおもちゃのようにギギギっという感じにこっちを向いた。
(はっ!しまった!)
シャドウブラッタは己の失敗に気づいたがもう遅かった。
信濃はこっちに一歩二歩近づいてくる。
(あああ、終わった何もかも)
信濃は彼女―――ではなく横にいた武蔵に向かった。
「へ?」
「お姉ちゃん、あのさ考えてみたけど家のお金大丈夫?」
「え?ちょっと待って」
意外な展開に置いてけぼりを食らうシャドウブラッタ。
その横で家計簿と電卓を取り出す武蔵。
「あちゃー、駄目ね、うっかりしてたわ、お金がかかるんだった」
「どうするの?」
「うーん、食べる路線が失われて、飼えないとすると」
「逃がすしかないの?」
「それも勿体無い、うーん誰かに預かってもらおうか…」
と武蔵の目線がシャドウブラッタに止まった。
「え?」
シャドウブラッタは猛烈に嫌な予感がした。

「…シャドウ?これは何?」
自宅に帰ったシャドウブラッタ。
帰った早々居候のハリマが質問してきた。
「…新しい居候です」
「くはははは、今後ともよろしくー」
鶴が尊大そうに胸を張る。
「…もう涙で何も見えない」




舞台裾(あとがき)
天鶴「はい大和編というか三姉妹編終了、えーまず前回の言い訳から、普通に間違えました、あのとき何と言うか、いじれそうなキャラがいないことに気付き、不自然にもかかわらず慌てて登場させたせいか、ついうっかり間違えました」
シャドウブラッタ「…こんな仕打ちありなの、前回の登場もいい加減だった上に、名前、そして今回、あの変な鶴押しつけられて」
ハリマ「…まあ良いじゃん」
シャドウブラッタ「良かあ無いわ!」
天鶴「とりあえず、前回のシャドウの登場はいい加減でした、すいませんでした」
大和「私も最後の方の扱い適当ではないか?」
天鶴「武蔵と信濃書いてて楽しくなっちゃて」
信濃「というか途中の何?」
天鶴「さあ?(逃げモード)」
武蔵「お仕置きー」
きゅっ!
天鶴「あずべ!」
ハリマ「…それじゃっ」
シャドウブラッタ「うう、早くここから逃げたい」



 2007/07/17:天鶴さんから頂きました。
秋元 「擬人化ドタバタ萌え(笑」
アリス 「……恐らく、ここ(当サイト)がそういうところだと認識されている方も多いのではないかと」

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