WARSHIPGIRLS




「あちー」
「…暑い」
「あつー」
ここはシャドウブラッタ宅。
その一階リビングでは数名暑さに耐えられず寝ころんでいる。
寝ころんでいるのは、謎の鶴、居候超兵器・ハリマ、変装娘・アドミラル・グラフ・シュペーの三人だ。
「暑い〜、誰でもいいからハボクック呼んできてー」
「嫌じゃ、貴様が行け」
「…鶴は不満が多すぎ」
「うるさい」
「暑いー」
「暑い暑い言うな、こっちが苛立たしくなる」
「てゆーかなんでこんなに暑いのよ」
「…何故なら今クーラーが壊れていて、冷たい飲み物が切れていて、シャドウが買いに行っている真っ最中」
「そしてこのシュペーとシャルンホルストは、そこにのこのこ遊びに来てしまった」
「さらにシャルンホルストは暑いという言葉が世界に存在しないがごとく、平然としているのがますます暑さを助長する」
見ればシャルンホルストは優雅に椅子に座ってテレビを見ている。
それどころか
「ふふっ」
「よ、余裕の笑み…なんだこの敗北感は」
「さすがー」
「…でもいくら感心しても暑い」

WARSHIPGIRLS
シャルンホルスト「夏の暑い日…どのようにお過ごしですか?」

「あー、先生質問です」
鶴が手を、もとい翼を挙げてシャルンホルストに質問した。
「はい、何かしら?」
「どうやったら先生のように暑さを感じなくなるんですか?」
鶴のアホな質問に、それでもシャルンホルストは誠実に答える。
「別に暑さを感じていないわけではないのよ、ただ暑いからといってだらけないよう、自分を律しているだけ」
シャルンホルストはにっこり微笑みながら答えた。
「うごおお、良く分からないが再びの敗北感、これが貴賤の違いか、がくっ」
鶴もろもろのダメージにより突っ伏した。
シャルンホルストはその光景を見てわずかに笑う。
そんなシャルンホルストを見てハリマは思わずため息をつく。
彼女のそう言った仕草には嫌みったらしさが無い、本物の大人の女性だ、とてもうらやましい。
ふと隣にいるシュペーを見た、シュペーはシャルンホルストと仲が良いので、聞けば何か分かるかもしれないと思い、聞いてみた。
「…しかしシャルンホルストは凄いよね、いつもあんな感じなの?」
「ん、そうね」
ハリマに質問されシュペーが考えるような顔をする。
シュペーとシャルンホルストは家が隣でちょくちょくお互いの家にお邪魔になっているらしい。
「いつもあんな感じね、スカートまくりあげて扇風機に当たるとか、風呂上りに腰にタオル巻いてビール飲むとか見たこと無いわ」
「…そりゃシャルンホルストじゃなくてあなたでしょ」
「失礼ね、タオルなんて巻かないわよ」
「…いや反論するとこ、そこじゃないんじゃ」
ハリマは思った、何故こんなオヤジ臭い性格をして自分のスリーサイズを偽っているような人が、あの優雅で美しいシャルンホルストの友人をやっているのだろう?
今度はシュペーにも興味がわいた、少し踏み入った話かもしれないが、今度は両者の事を知れる質問をした。
「…シュペーはどこでシャルンホルストと出会ったの?」
「りょ?」
シュペーはきょとんとしたが、すぐに表情を直した。
「ふふっ、あたしがシャルンホルストと出会ったのは、そう、中国が介入し泥沼と化した朝鮮戦争の真っただ中、平嬢で北朝鮮兵に捕まったあたしを…」
「…嘘つけ」
「ちっ、人を信じない娘ね、ホントはロサンジェルスで、ある寂れたバーでシャルンホルストがあたしを口説いたのが…」
「…あの人がナンパなんてしますか、しかも同性に」
「文句の多い奴ね」
「…言いたくないならそう言ってください」
口ではそう強めに言いながら、ハリマはまずいことを聞いていしまったかと、内心焦っていた。
「んー、別に話したくないわけじゃないのよ」
「…え?」
「んーとね、あたしらが出会ったのは、あたしがシャルの家の隣に引っ越してきたときで、普通に毎日挨拶してたらこうなった」
「…普通ね」
「そういうもんじゃない?マンガみたいに命助けられた―とかそうゆうのいらないんじゃないかな、特別な理由なんて必要ないと思う」
「…そうかも」
「でしょ?」
とりあえず納得。
自分が親友筆頭に挙げるシャドウブラッタとは変わった出会いをしたが、普通はシュペーの言うとおりだろう。
「二人とも何のお話をしているの?」
次の質問をしようとしたら、後ろから声をかけられ慌てて振り向く、そこにはシャルンホルストが立っていた。
ハリマはいきなり現われた――といっても元々すぐそこに居たのだが――シャルンホルストに驚いたので、わたわたして挙動不審になった。
シャルンホルストはそのハリマに慈愛の聖母のような笑みを送ってくる。
ハリマはなんだか申し訳なくなった、コソコソしていた自分が情けない。
「二人だけでお話もずるいわね、私も混ぜてくださらない?」
「え、えーと…」
「シャルー、今日のショーツの色、何色ー?」
言い淀んでいるとシュペーがカバーに入ったのかどうか解らないが、シャルンホルストに対してナチュラルにセクハラ質問した。
「今日は、えっと…」
シャルンホルストは驚きもせず何色だったか思い出そうとしている、どうやらこの手のセクハラは日常茶飯事らしい。
「………あっ」
シャルンホルストは少し考ると、何故か顔を赤らめた。
「シャルー?どーした?」
「………下着を穿くのを忘れてしまっていたわ」
「何ーーーーーー!?」
シャルンホルスト爆弾発言、それに最も早く反応したのはシュペーでもハリマでもなく、鶴であった。
鶴は素早く起き上がると滑走開始、シャルンホルストに襲い掛かるべく飛び上ろうとして――――――
バタンッ!
いきなり開け放たれたリビングの扉によって壁に叩き付けられた、鶴は漫画よろしく紙のようにペラペラになって、開け放たれていた窓から外に吹き飛ばされていった。
「ふうっ、ただいま―――って何かあったんですか?」
「…何でもない、一つの悪、いや阿呆が滅んだだけ」
「?」
ジュースやミネラルウォーターのペットボトルの入ったコンビニ袋を抱えた少女、シャドウブラッタは小首を傾げた。
ハリマはコンビニ袋からアイスを取り出し、ぱくつき始める。
「ああっ!その破亜限脱津、私のなのに!」
「…美味しい」
「無視すなー!」
シャドウに構わず食べ続けるハリマ、それに抗議するものの全く相手にされない可哀想なシャドウ、いつもの構図だ。
「仲が良いのね、あの二人」
「そうー?笑えない芸人みたいに見えるけど」
「そうかしら?」
「ところでシャル?ショーツは?いいの穿かんくて?それはそれでそそるものがあんね」
「…いったん家に戻るわね」
「いってらっさーい、んじゃあ、あたしゃこの我利我利勲でも喰いますか」
出ていくシャルンホルストに手を振りつつ、アイスの包みを開けるシュペー。
「しっかし、ときどきシャルはドジっ娘属性発揮するのぉ」
開けたアイスにかぶりつくシュペー、それに気づいたシャドウが悲鳴を上げる。
「ああああ!?私の我利我利勲がーーーー!?」
気づいた時にはもう遅い、再びシャドウの悲鳴が聞こえた。

「あああぁぁぁぁ」
リビングに崩れ落ちるシャドウ、あの後ハリマ・シュペー枢軸軍相手に奮戦したものの、敗北した。
残ったのは亜頭棄刃阿と、シャドウの嫌いな抹茶味のアイスのみ、哀れ、炎天下をあくせく買ってきたご褒美の大半を強奪されてしまったのだ
「うう、きっと私の前世はとても幸せだったのですね、それをやっかんだ人たちによって、こんなことになってしまったのですね、お願い前世の私!今の私と代わって!」
あまりのショックに意味不明な呟きが口から漏れ出る、ちょっとヤバげだ。
「あら?シャドウちゃんどうしたの?」
シャドウが悲嘆に暮れているとシャルンホルストが下着を穿き終えて戻ってきた、シャドウの様子に驚いている。
「ああうううぅぅ、あああああぁぁぁぁぁぁ」
「あらあら」
シャルンホルストに泣きつくシャドウ、まあ泣きたくもなるだろう。
「うわああん、何故に何故にこの仕打ち、連合国は最初酷い目に合うのはいつの時代も同じなのですねーーー」
「あの、私も枢軸側のドイツの軍艦なのですが?」
いきなり抱きつかれ困惑するシャルンホルスト、それに構わずシャドウはシャルンホルストの豊かな胸(8○センチ ○カップ)に縋り付く。

(女の魅力は戦闘力、女の魅力は戦闘力)
(ふっ、私はあれと張り合えるさ)
…あの舞台裾で見ているロシア機のお二方、静粛にお願いします。
(女の魅力は戦闘…むががが)
(黙りな)
はいそれじゃ、何事も無かった様に再開です。

そうこうしていると、シャドウがシャルンホルストに縋り付いているのに気づいた悪魔ハリマと死神シュぺーが寄ってきた。
「おーおー、何か気持ち良さそうなことしてんじゃねーか?嬢ちゃん?」
「…もふもふもふもふ、私もしたい」
何ともビミョーな迫力で迫るシュペーと、明らかな嫉妬を持って迫るハリマ、どちらも怖くは無いがじりじりとにじり寄ってくる。
「くっ」
このままだとまた酷い目に合うのは明白だ、さすがに人の好いシャドウもそれは嫌だ、何か反撃の材料はないかと考えると、目の前にあるシャルンホルストの胸が見えた。
「………」
振り向いてゆっくりとこっちに向かって来る二人の胸を見やる。
「………」
反撃開始
「そー言えば二人とも胸大きくないですね」
「「うぐっ」」
にじり寄る悪の枢軸陣営は、両者胸を押さえて動きを止める。
ハリマとシュペーは胸が小さい、ハリマは小振りであり、そのうえ長身であるためそれが際立ってしまっている、シュペーは一見スタイルが良さそうだが、その実偽乳であり実際はハリマ以上のぺったんこ娘である、そこを指摘して精神的ダメージで撃退しようとしているのだ。
なお、かく言うシャドウはなかなか大きく、豊かである。
「なっ、ひ、人の気にしていることを!」
「…南極条約違反、GP−○2Aね」
「うるさいです!復讐です!私の、私の!破亜限脱津や我利我利勲、崇派唖割賦を返せ!羽非個を返せ!」
「…普通、羽非個は二つに割ってみんなで食べるものじゃないの?」
「そのみんなに私が入っていないでしょうが!」
シャドウはビシッとまるで弁護士のように二人を指さす、その姿はどこか様になっているような、いないような。
それに対して二人は怯むが反撃を開始する。
「…胸なんて飾りです。偉い人にはそれが解らんのですよ」
「そ、そうよ!あたしは気にしてないからね!」
「なら何故ハリマは通販で買った怪しげな機械を使って地味な努力をしたり、シュペーはパッド入れているのですか!貧乳を気にしている証拠です!裁判長、検察の証言には矛盾が見られます!」
見えない裁判長に向かって検察側を弾劾するかのごとく、大袈裟な動きをしながら枢軸軍の証言の矛盾を指摘するシャドウ、被告の無罪を立証する敏腕弁護士に見えなくも無い。
「貧乳、洗濯板、ナイチチ!」
「ちょっと、もうやめれー」
「…てゆーか、シャドウいつもとキャラ違う」
「盆地胸、ぺったん、まったいら!」

「………」
「………」
十分ほどすると、リビングの床にはハリマとシュペーがぴくりともせずに倒れていた。
(………)
ついでに言うと、舞台裾にも死体のように動かないロシア機の娘さんが倒れている。
「ふ、ふふ、ふふふふふふ、勝ちました!」
「あらあら」
その骸を前にして勝ち誇るシャドウ、シャルンホルストはどうリアクションしてよいか迷っている。
「ルンタラッタラー♪イヤー気分が良いですね!」
その場でくるくる回るシャドウ、ステップまで踏んでいる。
「フフーン♪…おや?」
回っていると机の上に出しっぱなしにしておいたコンビニ袋が目に付いた、当然中のジュースもそのまま。
「ありゃー忘れてました。しまわないと」
そう言うとコンビニ袋を抱えてキッチンに向かい、冷蔵庫に物を詰め始める。
「ふふふっ、ふふんふーーん」
鼻歌を歌いつつ、上機嫌に詰めていく。
「はい、終ー了ー」
バタン!
勢い良く冷蔵庫の扉を閉める。
がそれがいけなかった、なぜか・・偶然・・・冷蔵庫・の・上・に・・・あった・金・・・タライがぐらぐらと揺れはじめ…
ひゅっ――ごいぃぃぃぃぃん――どさっ
増長したシャドウに対して戒めの剣が振り下ろされた。
シャドウは、やっぱり調子に乗るのはもうよそうと、消えかかる意識の中で思った。



舞台裾(あとがき)
ツアギ「やっと出番か、遅いぞ」
天鶴「すいません、えー、今回は新キャラが出なかったので外機から二人ゲストを呼んだのですが…」
ジェラ「………」
シャルンホルスト「ジェラちゃん大丈夫?」
天鶴「このように精神的ダメージで一人気絶されましたので、一人補充」
ナレーション「………あの良いんですか、私で?」
天鶴「気にすんな」
ツアギ「ビミョーに前に出ているからな」
天鶴「ちなみにCV、福山潤ね」
ナレーション(?)「あなたに関わっている暇は無いんですよ、オ○ンジ君…って何を言わせるのですか!」
ツアギ「しかし、はじめに決まったCVがこいつとは、お前は何をやっているんだ」
天鶴「おー、すいませんそのうち決めようかな」
ナレーション「ちょっと!危険なネタを振った上に放置プレイですか、やめてください」
シャルンホルスト「あらあら」
天鶴「次は海企画の予定」
ナレーション「ちょっとーーーーー!?」

おまけVol1 ?のサイズ
ハリマ 小
シャドウブラッタ 大
シャルンホルスト 大
アドミラル・グラフ・シュペー 無
雪風 並
ケストレル 中
アドミラル・クズネツォフ 中
ニミッツ 大
大和 大
武蔵 中
信濃 小

おまけVol2 性格の基準
ハリマ→でっかいけど遅いから、ちょっと会話の前に「…」入れてみたりして再現
シャドウブラッタ→航跡見えちゃっているからね、自分の能力発揮しきれずってことで
シャルンホルスト→暁天さんからいただきました。それにある程度肉づけ
シュぺー→暁天さんからいただきました。暴れまくっていたから、暴れさせようとしたらいつの間にか
雪風→暁天さんからいただきました。あとは何時も無傷で動き回っていたとこから、ちょっと快活風に
ケストレル→歴戦の艦ってことでちょっと大人風に
アドミラル・クズネツォフ→米露の代表的な空母ってことで張り合わせてみました。なお裏設定では二ミッツ以外には冷静に対処している、クール系
ニミッツ→上に同じ、ただクズネツォフと違って裏ではニミッツはお姉ちゃん達(大戦中の米空母)に甘えたがる、可愛い系
大和→暁天さんからいただきました。が次第に情けないキャラに…、なお大和の遊びが苦手なのは、何時も後方にいて外に出なかったということから、外出が少ない→遊び慣れてない、と発展連想
武蔵→姉が真面目そうだったのでとばしてみました
信濃→武蔵に同じ。ちなみに信濃が食いしん坊なのは、未完成艦→まだ全部入っていない→まだ入る→まだ食べられる――という発想から

おまけVol3 何か替えてみよう
正しい例
兵士A「何だ、白い機体?」
兵士B「白いゼロだと!?」
兵士C「日本海軍の白き猟犬だ、凄腕だ、気をつけろ!」

これを替える

その1
兵士A「何だ、白い機体?」
兵士B「白いナイト○アだと!?」
兵士C「ブリ○ニアの白騎士だ、凄腕だ、気をつけろ!」

その2
兵士A「何だ、白い機体?」
兵士B「白いモビ○スーツだと!?」
兵士C「○邦の白い悪魔だ、本当に凄腕だ、気をつけろ!」

その3
兵士A「何だ、白い機体?」
兵士B「白いモ○ルスーツだと!?」
兵士C「ジ○ンの白狼だ、凄腕だ、気をつけろ!」

その4
兵士A「何だ、白いお菓子?」
兵士B「北海道のおみあげだと!?」
兵士C「白○恋人だ、結構美味いぞ、気をつけろ!」



 2007/07/17:天鶴さんから頂きました。
秋元 「ノーパン! ノーパン! ノーパン! ノーパン!」
アリス 「……マスター、ノーパンとは?」

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