君は『天国』はあると思うか?

 

 

 

 

 


俺はあると思う。

 

 

 

 

 


そう断言する。

 

 

 

 

 


何故なら……。

 

 

 

 

 


俺は今、その『天国』にいるから……。

 

 

 

 

 

 

天国の空

第1話
空色の乙女と白衣の美鶴

 

 

 

 

 


西暦20XX年 3月4日 日本時間14時08分 日本海上空 約5000フィート(約1500m)

 「クソッ、動け!!」
 俺は焦っていた。訓練飛行中、突然俺の乗る戦闘機[F-2]の無線が故障。さらにエンジンが停止、そのまま急降下、いや落下しているからだ。
 しかも操縦桿もスロットルレバーもラダーペダルすらも動かない。それでも俺は機体を立て直そうと、必死に操縦桿を動かそうとしていた。
 そんな状態なら脱出しろ、と言う奴もいるだろう。しかしそう簡単に戦闘機という俺の給料何年分かもわからない額の税金で作られている備品を簡単に捨てるわけにはいかない。俺はとにかく操縦桿を引き続けた。
 「うーご−けー!!!」
 操縦桿を折れろとばかりに引く。すると、ほんの少し操縦桿が引けた。さらにエンジン音がかすかに聞こえてきた。少しずつ機体が水平に近づいてゆく。
 70……65……60……。
 HUDに映るピッチスケールがゆっくりと上昇している。今50度を超えた。しかし既に高度は2000フィート(約600m)を切っていた。
 40……35……30……。
 現在15度。高度500フィート(約150m)。駄目だ、間に合わない。この速度では海面に激突して俺も機体も粉々だ。この機体に乗って3年、愛称まで付けたこの[F-2]を、まさかこんなことで亡くすとは思ってもみなかった。
 俺は操縦桿から手を離し、その痛む腕で黄色と黒の縞模様に塗られている脱出レバーを力いっぱい引いた。
 ……確かに引いた。手ごたえはあった。
 ……キャノピーが、飛ばない。
 「京(みやこ)。……父さん、もう帰れない……」
 娘に別れを告げると、俺の目の前が真っ白になり、包み込んだ……。

 

 俺は真っ白な空間の中を歩いていた。上も下も、右も左も、前も後ろも、ただただ白い空間を……。
 ……この白に終わりはあるのだろうか。
 そんなことを考えながら、俺は歩いた。ひたすら歩いた……。

 どれだけ歩いただろう。1分? 1時間? 1日? 1ヶ月? 1年?
 白だけの世界に、ぽつんと別の色が見えた。とても遠くだ。しかしこの遠さでも良くその色。俺の一番好きな色、『空色』。
 俺は無我夢中で『空色』に向かって走り出した。『空色』を近くで見たい。『空色』が何か確かめたい。『空色』に行かなければならない。いろいろな考えが頭に浮かんだ。

 俺はやっと『空色』に追いついた。
 『空色』は髪だった。とても長い『空色』の髪をもった人間だった。140cmくらいの、おそらく子供だろう。
 俺は嬉しくて堪らなかった。この白い世界で始めてあった人間だ。
 「ねえ、君」
 俺は耐えかねて声をかけた。相手は立ち止まり、こちらを向く。
 透き通るような白い肌を濃い青のドレスで包んでいる。美しい少女だ。残念だが、俺の娘よりもずっと美しかった。
 美しき『空色』の少女は泣いていた。金色の瞳からぽろぽろと涙が流れ、頬を伝い落ちてゆく。少し心配になった俺はもう一度声をかけることにした。
 「どうした? 何か悲しいことでもあったか?」
 そう言うと、『空色』の少女は俺に向かって駆け出し、そのまま俺にしがみ付いた。そのまま嗚咽交じりで、
 「……会いたかったです」と……。
 きっと寂しかったのだろう。まだ小さいのに、たった1人でこの世界を歩いていたのだから。
 「もう大丈夫。これからは俺が一緒だから」
 「……はい、ご主人様……」
 ………
 ……
 …
 
 …この子、今なんて言った?
 今、『ご主人様』って言わなかったか?そんな馬鹿な。
 俺はこんな美少女知らない。
 まして、『ご主人様』なんて言われることなんか誰にもこれっぽっちもやっていない。
 きっと人違いだ。うん、そうに違いない。でも……。
 と、とにかく聞いてみよう!
 「あ、あの人違いじゃ――」

 聞きかけた瞬間、『空色』の少女がまるでガラスのように砕け散った。
「なッ!?」
 さらに、白い世界が一瞬にして闇に染まった。
 「いったい何が…うぅッ!?」
 突然睡魔が襲ってきた。駄目だ…抵抗…出来な……い。
 ………
 ……
 …


 目覚めたのはその直後。俺は良く学校の保健室にあるような簡易ベッドの上で眠っていたようだ。
 両腕と頭、右足も少し痛い。痛みを堪え、何とか体を起こした。薬品のにおいがする。どうやら医務室かなにかのようだ。
 「夢…か。…なんだ、俺生きてたんだ……」
 言った瞬間、回りを覆っていた仕切り用のクリーム色のカーテン――足の方向。つまり正面――が開く音がした。
 「残念だが、君は死んでいるよ。大和武蔵(やまと・むさし)君!」
 元気の良い女性の声だ。しかし内容は死亡宣告。冗談じゃない!
 「そんな馬鹿な!俺はこう……」
 俺はそれ以上何も言えなかった。
 肩までで切りそろえられた艶のある漆黒の髪。眼鏡の奥に見える切れ長の目。形の良い高い鼻。張りのある唇。形の良い輪郭。そして、白衣の上からでもとんでもなく自己主張している胸。完璧すぎる。ありえないくらい完璧すぎる女性だ。
 い、いや別に完璧過ぎるからとか、胸に目が行ったから何も言えなかったわけじゃないぞ。ただ、彼女の……。
 「ん?ああ、これかい?」
 俺の視線の先に気づいたのか、彼女は背を向け、そのを広げて見せた。全体は純白で、先端が黒くなっている。何枚かの羽が抜け落ち、ふわふわと床に舞い落ちる。
 「ふふっ、驚いたかい?」
 俺は完全に固まっていた。驚きまくりだ。
 「驚くのも無理はない。白衣の天使ならぬ、『白衣のジェラーヴリグ』さ」
 そう言うと、女性はをたたみ、こちらを向く。やっと驚きから覚め、口が動いた。
 「ジェラ…、何だって?」
 「ジェラーヴリグ。ロシア語で『鶴』の意さ」
 女性は微笑みながら教えてくれた。ジェラーヴリグ。何処かで聞いたような……。
 「おっと、自己紹介がまだだったね。僕はフランカー。フラン、でいいよ」
 女性――フランカーは微笑みながら言った。…ん?
 「フラン、カー?」
 「ふふっ。多分、君の思ってる通りだと思うよ。そう。僕はロシアはスホーイ設計局開発の戦闘機、[Su-27]が人間の肉体をもった姿なんだ」
 ……なんですと?戦闘機が人間に?
 「そんな馬鹿なことが――」
 「あるんですよ」
 突如、フランカーではない、幼げな声が聞こえた。
 「おや?アイちゃん、もう大丈夫なのかい?」
 フランカーは微笑みを崩すことなく俺の右側を見る。しゃっ、とカーテンが一気に開かれる。
 「はい、もう大丈夫です。フランさん、お気遣いありがとうございます」
 なんと、夢に出てきたあの『空色』の少女だった。長い髪を三つ編みにしていたり、着ているものが濃い青のドレスではなく、青いワンピースだったりと違う部分はあるが、間違いなくあの『空色』の少女だ。俺のほうを向いて、頬を赤らめた。もう何がなにやら……。
 「混乱しているようだね」
 「ああ…」
 「ゆっくり説明してあげるよ」
 フランカーは全く微笑を崩すことなく、俺に顔を向けながら言った。すると突然、明後日の方を向いた。
 「第2話でね」
 「お、おい。何だよ第2話って」
 「ふふっ。それじゃあ皆、ばっはは〜い!」
 「バイバイです!」
 「おい、何なんだよおい!おいって!!」


                                                           
しろ〜と作家のあとがき

初めまして。しろ〜と作家のYOUです。
ええっと、どうでしたでしょうか。『天国の空』第1話。
とある兵器擬人化サイトを見ていて、それに感化され、発狂して作ったてきとーな話です。
かな〜り駄目っぽいですよね。特に最後あたり、完全に遊びです。もうどうでも良くなったような終わり方です。
興ざめした方ごめんなさい。

ええっと、個人的には戦闘機は大好きです。特に東系。
私は、は○わと同じくSAGAという田舎県出身で、4月に高校に上がったばかりでござる。
近くにプラモ屋も模型店もショッピングセンターもなく、さらに金遣い荒すぎでいつもフトコロは南極点。
やっと見つけたショッピングセンターのプラモ売り場もF-4とカサッカばっかり。
大好きなファルクラムもフランカーもどこにもない(フィッシュベッドはちょっと敬遠)。
そんな恵まれない環境で生きているのであります。

…ていうか俺、あんまり戦闘機に詳しくないし。
手に入れた知識もニャムコのゲームからだし。
もう俺ってだめだめっすね……。

っと、マイナス思考はいかんですな。
きっとこれを「面白い」と言ってくれる人もいるかもしれない。
がんばって、いつの日かきっとアキモト中尉殿の航空ガール、我が愛しのツアギ様に
「……っへ……」
と笑っていただける日を夢見て、

ふぁいと〜!俺〜!
ツアギ様、ウラー!!

以上、最近扇風機を「エアインテーク」と言ってしまって、家族に「なんだそれ?」と言われた、YOUでございました。



 05/09/01:YOUさんから頂きました。
秋元 「俺もご主人様と呼ばれてみたi(以下略) フランたんは巨乳ですかw 私はナイチチの方がすk(以下略) これからどうなるのか楽しみです。しっかし、ツアギって意外と人気あるんですね」
「……意外とは余計さ…………」
アリス 「…………ご主人様(ぼそっ」

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